本日も感想文

読んだこと、観たこと、聴いたことの覚え書き

百年泥  石井遊佳

「おらおらでひとりいぐも」と一緒に文藝春秋に掲載されていたので読みました。二作受賞となると、文藝春秋の方がお安いですしね。

 

ざっくりなあらすじ

チェンナイで百年に一度の洪水!アダイヤール川氾濫、市内ほぼ全域浸水か。橋の下には猛烈な勢いで逆巻く川、橋の上にはそれを見物しに雲集したとてつもない人びとの群れ…こうなにもかも泥まみれでは、どれが私の記憶、どれが誰の記憶かなど知りようがないではないか?洪水の泥から百年の記憶が蘇る。

 

個人的感想

最初、文体が気になるのか句読点が不思議なのかで私にとっては非常に読み辛く、これまた芥川賞二作目も途中で放置か、と思いました。なんでこんなに一文が長いのー、と途中で疲れながらも、何か気になるので止められず、モヤモヤしながらも読み進めていたら、突然「おお?」と引き込まれ、そこから夢中で一気に最後まで読みました。

ファンタジーなんでしょうか。作品のジャンルがよく分からない私としては、カテゴリーに分けることは難しいですが、簡単に言ってしまえばおかしな作品です。インド人は変なことばかりを言うし、インドのエグゼクティブは空を飛んで通勤するとか、泥の中から人が出てきたり、思い出が出てきたり、もうてんやわんやです。主人公の母親は人魚らしいですし、インドで大阪万博のコインが重要なポジションを担っているし、あっちこっちヘンテコで不思議なネタが湧いてきます。

違和感まみれで「いやいやいや」と若干笑いながらも、内容がちょっと普通と違うぞと気づいてから、おもしろくなりました。この感じ、どこかで味わった気が…と思ったら「バーフバリ」でした。そうか!インドか!やっぱりそうなのか!書いているのは日本の方ですが、インドのエンターテイメントって何でもありだからこそ魅力的で、気づくとのめり込んでいるんですよね。最初は「え?泥から人が出てくる?」と、ちんぷんかんぷんだったのに、そのうち「次は泥から何が出てくるの?」と楽しみになってしまう。本当に不思議ですが、次は?次は?と欲しがってしまいました。

だけど、インドの何でもありだけではないんですよね。インドの日本人学校のあり方とか、年齢を詐称して学校に入学するとか、恋愛結婚は今でも許されていないとか。インドの文化についても、自分が知らないことが満載で、それにも引き込まれていきました。まあ、全体的に現実にはありえないことが散らばっているので、それが本当のことかもわかりませんが。でも、どっちでもいっか、インドだし、となぜか納得。不思議でよくわからないけど、おもしろい作品でした。

 

個人的満足度★★★★☆

よくわかんない世界が、おもしろかったです。インドの文化が真実かどうかはわかりませんが、そんなことどうでもよくなるのが不思議。インドのパワーとおもしろさを感じて「やっぱりインドってすげー」と思わせてくれたので星4つです。ただ、いろいろと気になることがたくさん。恋愛結婚は本当にないの?みんな早く働くために年齢偽って学校行っちゃうの?とか。まあ、泥から人が出てきたり、飛んで通勤したりはファンタジーと思いますが。今度インドの方にお会いする機会があるので、ちょっと文化的なことを聞いてみようと思います。この本読んだ感想とか生粋のインド人に聞いてみたいですが、その方は日本語勉強中の方なので、また他のインド人に会う機会があればかな。そんな機会、なかなかないですけど。

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